天使の足跡
第5章:鬼ごっこ






休み時間になると、クラスの中で俗に「不良」と呼ばれている3人組は、大声で話をしていた。


髪を染めている田口と、小柄で筋肉質な金井。
そして、彼らの中心的存在の八杉だ。

彼は大きな体をしていて、いかにも手が早そうな生徒である。


「不良」と言っても、折り紙つきだ。
すでに3人とも、停学処分を経験済み。


入学した頃から雰囲気の悪い奴らで、他のクラスでは3人の一顰一笑を伺い、怯えながら学校生活を送るハメになった生徒もいる。


彼らは窓際の席で癒威は廊下側の席だから、直接的な害はないが、あまり好きではなかった。

以前は成績がいいというだけで絡まれたことがあって、何かとチョッカイを出されたから、なるべく避けるようにしている。




いつも癒威とツルんでいる三谷や丹葉は、さっきの授業でダウンしたまま、今も仮眠状態だ。

彼らに話しかけるのは諦めて、八杉たちの大声を遠ざけるために教室を出ていく。

それを見ていた女子生徒が、後を追うように廊下に出た。




廊下の窓辺に腕を組むと、風が校内に吹き込み、癒威の髪をなびかせる。


「太田くん」


呼ばれて、首だけを振り返らせた。
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