紙吹雪



「…?なら…いいのですが…」


「ん。気にすん、な」



気にすんな、と言いながら勿論穏やかではない歳三の心境。

何でこんなに慌ててんだ!?
と思うほど心臓は早く脈をうっている。


しかし、これ以上は表情に出すまいと、歳三は溜息まじりの深呼吸を繰り返した。





…格好悪いし、な…





「歳さんはこの辺の人なんですか?」



馨が小首を傾げ歳三に問い掛ける。

だが、只今歳三は絶賛精神統一中。

完全に自分の思考の中に入ってしまっている歳三が答えられるはずもなく。





「…ん?歳さん?」




何度目かの馨の呼び掛けでようやく気付いた歳三。




「あ、悪い。何だって?」


「歳さんってこの辺りの人なんですか?って聞いたのですが…」



顔を向けて馨に問い直せば、馨は眉をハの字にして申し訳なさそうに質問を返してくれる。


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