兎心の宝箱【短編集】
彼は、私に言わせるととても駄目な男だった。
太ってはいなかったが、顔が取り分けて良いわけでもなく、金もなく、車も持っていない。
いつもの私であれば絶対に付き合わないタイプの男。
それでも付き合う事になったのは、たまたまその時付き合っていた男の一人を振ったからだ。
赤く紅潮させた顔をして、告白してきた彼に、偶にはこの手の男と遊んでみるのも悪くない。
本当に、偶然そう思っただけなのだ。
それなのに、彼と別れず年月を重ねたのは、ただ都合が良かった、それだけだった。