tear drop
するとそこには京子をお姫様だっこで抱え、歩いてくる彼の姿が。
「きょうこぉ!!!」
モモは泣き顔のまま駆け寄る。
「大丈夫?ごめんね、ごめんねぇ・・」
ビーチにそっとおろされた京子の目が静かに開いた。
「あれ・・ぁたし・・」
そこには泣き顔のモモと微笑んで立っている彼の姿があった。
「京子溺れちゃって、彼が助けてくれたんだょ。」
モモの言葉に、京子は頭の中が真っ白ながらも
「また助けてもらっちゃったんだ」
とぃう申し訳ない気持ちでいっぱいになっていった。
まだフラフラしながらも体に血の気も戻ってきた京子は、
彼にこなぃだ誤解したことを謝った。
「ごめんね。こなぃだの失礼な態度。
そして・・助けてくれてありがと。」
「ぁーきにすんなょ。助かってよかった。」
ニカッと笑った彼の笑顔を見て、京子は思わず
「お礼したいんで、ばっばっ・・・番号教えてくださぃ!」
顔を真っ赤にしながら話す京子を見て
彼も心がほぐれた感じがした。
「ぢゃー赤外線で!」
「う、うん」
手が震えてうまく通信できない。
何度もやり直し、やっと彼と番号を交換できた。
彼の名前は、
『航太』
この2文字が後の京子にとってどれだけ愛おしいものになるか、
この時の京子には予感すら出来なかった。
「連絡するねー」
「まってるねー」
お世話になった海の家の人たちにも挨拶をし、
京子とモモは江ノ島をあとにした。
帰り道、モモが
「京子を助けて海からあがってきた時の航太くん、
まぢで王子様かと思ったょ!」
とまだ興奮から冷めぬ様子で話す。
京子は何となく、嬉しい気持ちで
心がいっぱいになるのを感じていた。
家に着き、京子は航太にメールをした。
先週の出会いなんてぅそのように、
京子と航太の間には穏やかなときが流れていた。
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