精神の崩壊
行方を追って
 女が去り、間もなくして無言電話を不信に思った警察が屋敷に到着し、屋敷の浴室で頭を砕かれ両眼部から脳をダラリと垂らし、涙を流しているかの様に水を両眼部から流しながら死亡している女の死体を発見した。

 浴室内は赤く染まり、床面にはグチャグチャに為った脳が散乱しており凄惨な状況だった。

 そして浴室のドアには題名の書かれた紙が貼付けて有った。

 『題名:バンシー(泣き女)』

 また草野静恵の仕業か……。

 そう思い調査を行ったが、草野静恵の指紋等は又しても検出されなかった。

 しかし、屋敷の至る所で真田正春と千春の指紋等が検出された。

 正春と千春は此処に居た。

 それが解っただけでも何も見付からないより良かった……。

 そして、捜査員達は近辺で聞き込み調査を開始したが正春らしき人物を見掛けた者は誰一人おらず、その後の足取りは掴めなかった。


 その頃、正春と千春はあの女の車に鍵が付いていたのを見て車を盗み田舎街を走っていた。

 そして、古着屋を見付て衣服を購入した。

 女に財布を取られていなかったのが幸いだった。

 途中で、ATMを使い金を下ろしたので、居場所を突き止められない様に出来るだけ遠くへ逃げなければ為らない。
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