精神の崩壊

　〈それじゃぁ行きましょう〉

　そして、正春は静恵に誘われるがまま後を付いて行った。

　静恵の運転する車に乗り10分程走った所にその家は有った。

　〈こっちよ……〉

　静恵に案内され千春の無事を確かめるべく先を急ぐ様に入って行く正春。

　そして、静恵に案内された部屋に千春はさるぐつわをされ、ロープで縛られた状態で寝そべっていた。

　「千春、大丈夫か!?」

　そう言って駆け寄ろうとした瞬間、後ろから静恵に羽交い締めにされ、ハンカチで鼻と口を 覆われた。

　（クロロホルムか!?……）

　そう思うのと同時に、正春の意識は遠のき深い闇へと堕ちて行った。

　正春が次ぎに目を覚ました時には、身体をロープで縛られていた。

　〈おはよう正春……ｳﾌﾌﾌｯ〉
　〈私達は、これからずっと一緒に暮らして行くのよ〉
　〈永遠にねｳﾌﾌﾌｯ……〉

　静恵は不気味に笑いながらそう言って来る。

　「冗談じゃない、何故お前と一緒に暮らさなければいけないんだ」
　「早くロープを解いてくれ」
　「俺達を自由にしてくれ」

　正春はそう叫んだ。

　〈何を言ってるの？〉
　〈私はこんなに貴方を……〉
　〈貴方達を愛してるのに〉