精神の崩壊
動く死体
　その死体は、早朝漁港近くの倉庫で見付かった。

　漁師が道具を取りに来た時にそれを見付けたのだ。
　
　警察が通報を受けて駆け付けた時、それは倉庫内のウインチのフックに引っ掻けられて宙づりにされており、頭部の無い死体が歩行しているかの様に手足を動かしていた。
　
　そして、その右手には顔の皮膚を剥がれた頭部が、前方を見るかの様に持たされていた。
　
　そして、その下にはまた…
　
　『題名:イモータル（死を超越した者）デュラハン』
　
　と書かれた紙とＤＶＤが置かれていた。
　
　またしてもこの様な残酷極まりない事件が起こってしまった事に、言いようの無い思いが込み上げて来る。
　
　「くそう、何て酷い事を…」
　「絶対捕まえてやる……」
　
　その惨状を見た捜査員達は皆口々にそう言った。
　
　倉庫の外には、情報を聞き付けた報道陣達が詰め掛け、引っ切り無しにカメラのフラッシュをたいている。
　
　そして、外でそれを制する捜査員達に、マイクを押し付けんばかりに差し出し、質問攻めをしている。
　
　「その後の進展は……」
　「犯人に結び付く手掛かりは見付かったのでしょうか……」
　「警察に対する……」
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表紙・目次

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