精神の崩壊
CIC6H4CHC(CN)2
 未だに事件解決への進展が見られぬまま、時間だけが虚しく過ぎて行っていた。

 そのせいか、最近では正春さえ居なければ事件は起きないと し、10数名程の者達が正春に対しこの街を出て行けと言いデモ行為を行っていた。

 悪戯電話や悪書投函等は日常茶飯事と為っていた。

 今日も、何度も嫌がらせの電話等が掛かって来ていた。

 その為、正春は仕事等する気も起きず、此処数日は何もせずにただ無気力にその日を過ごしていた。

 しかし、この時既に最悪の事件への運命のカウントダウンが始まっていたのだった。

 そして、翌日正春へ対してのデモ行為を行っていたメンバーの一人が警察へ通報した事によりその事件は発覚した。

 このメンバーは、農村地区の一角にポツリとある空き家を改良し、デモ隊の事務所として使用していたのだった。

 通報を受けた警察が現場に駆け付けると、出入口付近から建物の中の床や壁、天井に至る迄がベットリとした鮮血で赤く染まり、所処には被害者の物と思われる肉片や毛髪がベチャリとへばり付いており、その先に待ち受けているであろう想像を絶する惨状を無言で伝えていた。
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