精神の崩壊
 正春と千春は、千秋が去った後、暫く公園で遊んだ。

 「そろそろ会場へ行かないといけないな」
 「行こうか千春」
 
 そう言って、正春は千春の手を引き、会場へ向けて歩き出した。
 
 カシャカシャカシャ……
 
 〈私だけの物……〉
 〈私だけの為に……〉
 〈正春…ま・さ・は・る…〉
 〈ウフフッ……〉
 
 カシャカシャ……
 
 正春は、何者かに盗撮されているとも知らず、千春と仲良く公園を後にした。
 
 そして、某所でいよいよサイン会が始まろうとしていた。
 
 会場前は、多くの人達が列をなし、ごった返していて、正春の人気ぶりが一目で解る程だ。
 
 今日一日だけでも、相当な売上と為るだろうが、考えてみると恐ろしい事だ。
 
 なんせ、これだけの人数分のサインをし、握手までしないといけないのだから。
 
 そして、会場の扉が開きサイン会が始まった。
 
 ファンの皆がなだれ込み、正春の画集を掴み、正春の元へ走って行く。
 
 そんな中、良子も揉みくちゃにされながらも、憧れの正春の画集を手に、サインをして貰う為、順番待ちをしていた。
 
 中には、一人で10冊位買ってる人等もいる。
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