精神の崩壊
 コンクリートとの冷たい床に寝そべる正春と千春、いったい此処は何処なのだろうか?。

 正春は、まだ隣で眠っている千春に声を掛ける。

 「千春大丈夫か?」
 「千春……千春?」
 「うっ……うん」

 すると、千春は目を覚まし正春の方を向いて言った。

 「お父さん此処何処なの?」
 「解らない、何処だろう?」

 ガチャッ………
 コッンコッンコッン…………

 千春と話していると、カチャリとドアが開く音がして、女性が歩み寄ってきた。

 それは、山で会ったあの女性だった。

 「何でこんな事をする!?」
 〈ウフッ、貴方は私の物よ〉
 〈誰にも渡さない……〉
 「君は、誰なんだ!?」
 〈さぁ、誰かしら……〉

 この時、正春は思った。

 (まさか、草野静恵!?)

 でも、テレビでは草野静恵は35歳だと言っていた筈だ!?

 〈貴方は、私の為だけに絵を描くのよ〉
 〈ご要望なら、夜のお世話もして上げるわ……ウフフッ〉
 〈貴方の為にちゃんと部屋も用意してあるのよ……〉
 〈ウフフフフフッ……〉

 女は、そう言ってニヤニヤとしながらドアの方へと歩いて行き、ドアを開けた。

 するとその向こうは、様々な画材道具が並ぶアトリエと為っていた。
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