デュラハン

　「ハァハァハァ……」

　美由紀は息を切らしながらひたすら走り逃げた。

　そしてどの位走っただろうか美由紀はドサリと倒れ込み涙を流しながらガタカダと震え出した。

　そして、プルプルと震える手で衣服や顔面に付着した良平の脳味噌を拭い取り、脳味噌と赤黒い鮮血で汚れた手を見詰め号泣しだした。

　泣きに泣き、その後少しは落ち着いたのか静に起き上がりフラフラと歩き出した。

　涙と鮮血でぐちゃぐちゃに為った顔が月明かりに照らされて絶望に打ちひしがれた顔が浮かび上がる。

　「アハハハハッ……ｱﾊｯ……」
　
　そして美由紀は突然狂った様な笑い声を上げ、虚ろな眼をして独り言を言い出した。

　「ママ……今帰るよ……」