隣人の狂気
ほんの少し待っただけですぐに追いついて来た。

路地の入り口に小走りに入ってきて戸惑ったように立ち止まった人物が彼に違いない。

(よしよしコッチへいらっしゃい)

ワタシは携帯をさりげなくたたみ、 看板を眺めるフリをヤメて再び歩き出した。

彼に背を向けているので姿はみえない。

おまけに街の喧騒があって足音だって聞こえない。

でもついて来ているのは背中に突き刺さる視線でわかる。

どう言うつもりで尾行してくるのか知らないけど

まさかおびき出されているとは思わないでしょうね。

< 102 / 203 >

この作品をシェア

pagetop