隣人の狂気
アッサリと柵を越えて叔父さんはケータイの後を追って堕ちて行った。

両手がふさがってなかったら、とっさにどこかをつかめたかも知れない。

身を乗り出してなければワタシの力では持ち上げられなかっただろう。

重心が柵の向こうで柵が支点になったからなんとかなった。

そうなるようにワタシが仕向けた。

ああ…ワタシはあの程度の事で、よりにもよって恩人さえも殺してしまう人間なんだ。

ゴメンナサイ叔父さん。
ワタシにとってワタシの未来と人生は大切だと分かったの。

アナタの命よりもね。

思い出したの。

ワタシには昔から、人とは少し違う常識があるらしいって。

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