隣人の狂気
田舎のチャチな信号は短い。

数十秒後には信号は変わり、ワタシが目をそらす代わりに彼自身が視界から消えた。

フーッと長く息をはきながら上がっていた肩をさげる。

いつの間にか両手で自分自身を抱いて震えていたみたいだ。

オマケにイヤな汗までかいている。

たった数十秒で完全に打ちのめされた。

この数十秒の一方的な出会いがワタシのその後の全てを変えてしまった。

『種』は植えられたのだ。

< 141 / 203 >

この作品をシェア

pagetop