隣人の狂気
「俺だよ。わかんない?タカオ。イクエちゃんはタックンって呼んでた」

「えぇ~!タックン?覚えてるよ!全然わかんなかった」

まさか久しぶりの故郷で最初に会うのが幼なじみだとは。

彼は家が近くてよく学校から一緒に帰ったりしていた仲の子だった。

あのお父さんが帰って来なかった雨の日も一緒に帰った。

「あ、ゴメン。イクエちゃんひょっとしてお参り?」

「え?どうして?」

「ああ、やっぱり教えてもらってないんだね」

タックンは言い出したのを後悔するように気まずげに目を逸らして言った。

「この海岸はイクエちゃんのお父さんが殺された現場なんだよ」
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