隣人の狂気
ん?ちょっと待って。

「お父さんの死体の状況って噂とかでみんな知ってるの?テレビや新聞とかではそこまで報道しないと思うんだけど」

「ああ、その事か。ここらでもほとんどの人は知らないよ」

「ならなんで…」

タックンはテトラポットが並んでいる方へ視線を流しながらポツリとつぶやいた。

「第一発見者は俺のオヤジだったんだ」

タックンの見ている辺りにワタシも目を向けた。

多分そこが発見現場なんだろうけど、ワタシにはありふれた景色にしか見えなかった。

でも恐らくタックンは父親から聞いた発見時の様子を幻視しているに違いない。
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