愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

優しく私の手を取って、もう一度キラースマイル。

カッコいい彼にこんなふうにほほ笑まれたら、それは夢心地にもなっちゃうんだろうなーとか。

手を握るくらいなんともないはずなのに。

どういうわけか落ち付かなかった私。

イケメンだからとかそういうのも理由の一つかもしれないけど、この落ちつきのなさはなんだろう。

手袋を通しても、彼の手の感触が伝わってきそうなほど、彼の握り方は妙な胸騒ぎを駆り立てる。


「香椎毅臣(かしいたけおみ)です、お嬢様」


私の手をやんわりと握り締め、そのまま傅いて……ってお決まりのパターンをすると思ってた。

なのに……次の瞬間、私の目の前には彼の顔のアップが迫ってて。


「ちょ――っ!!」


と待って……と言う間すらなくね。

柔らかくて温かいものが私のそれと重なってた。


キスは初めてじゃないけれど。

この男とのキスは初めてで……って。

いやいや、そもそもなんでキスって。


何秒たったかなんて分からないけど、彼の顔がやっと離れていく。

唇が離れる寸前に……置き土産なんてされるもんだから、もう大パニックに陥る。


「私、今日から貴女様専属の執事です、お嬢様」


これが私の執事様こと、香椎くんとの初対面での出来事。


「どうぞお手柔らかに」
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