愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

お手柔らかに―とか言いながら、香椎くんの目は違ってた。

媚びもしない。
へつらいもしない。
傅きながらも絶対に相手に服従なんかしてやらない。

むしろ、おまえをオレに傅かせてやんぜーみたいな、わけのわからない威圧というか、そんなもんまで感じずにはいられなかった。

腹の中で何考えてるか分からない点なら、今まで出会った人間たちとそう変わりはしないのかもしれない。

にしても、なんだ、この男は。

執事なのに、執事じゃない。

いや、執事の格好だし、執事の物腰だし、執事の話し方だけども。


「私は容赦いたしませんけどね」


ニッコリキラースマイルは必殺技。

相手を騙すためというよりは、相手に言葉を失くさせるのが目的みたいな。


「っていうか、詐欺じゃんっ!!」


見た目と中身。
全く違った男。

ヒツジの皮を被ったオオカミ、香椎毅臣。

退屈だった日々。
退屈だった時間たち。

胸騒ぎの日々が今、その幕を開けようとしていた。
< 4 / 282 >

この作品をシェア

pagetop