愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
こういう大事な時に限って、あの執事もどきは傍にいない。
とはいえ、執事もどきの目を盗んで逃げるように学園の裏庭にやってきたのは他でもない私自身だけどもね。
にしたって、執事なんだから。
必死に探したってよさそうなものを。
いや、この文明時代。
ケータイだってあるのだよ。
にも関わらず、私のケータイは鳴るそぶりを見せないし。
っていうか、分かってるよね、香椎くん。
私からは教えてないけど……親のほうから回ってるわよね、当然。
もしかして、あの執事もどきが持ってないのかしら、ケータイ?
それもないわよね。
今の時代、ケータイ持ってない執事なんていないわよね。
って……私、何考えてるのよっ!!
香椎毅臣なんて執事もどきなんて傍にいないほうがいいに決まってるじゃない。
なのに探してもらいたがってる?
どうかしてるわね。
「……タケ、好きですか?」
「ひぇっ?」
タケ?
タケオミ?
……の略なわけないわよね?
っていうか、犂?
んなわけないか。
好き。
好き?
好きぃ~?
あり得ない!!
絶対にあり得ない!!