愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「重い重いヨロイを着こんだまま」
ねぇ、どうして今そんな話をするの?
「誰も彼女のそのヨロイに気づかないから」
どうしてそんなこと今言うの?
「彼女はずっとずっとそのヨロイを脱げずに、ただ前を向いて歩くしかなかった」
私の心の奥を見透かすようなことをなんで言うの?
「完璧な自分を演じ続けること、それが彼女の日課だった」
香椎くんの言葉が私の心の扉を叩く。
痛いくらい。
切ないくらい。
苦しくなるくらい。
ふと彼の足が止まる。
だから私も足を止めた。
たどり着いた頂上で、香椎くんは私に向き直るように身体の向きを変えた。