聖霊の宴

そよ風がなびく。

キラキラと光る水面、揺れる木々。

時折聞こえる獣の鳴き声。

「……残る1人はまだ近づいてきていない。」

地図を見つめるシルク。

地図に残る唯一つの炎は依然として動く気配がなかった。

『相手も先の戦いに備え力を付けているのかもしれませんね。』

「うん、この戦いで終わりではない。次には炎王との戦いが待っているのだから、今の僕では到底炎王には勝ち得ないし。」

その時。

涼しいそよ風に乗って煙草の匂いがやってきた。

「ふーん、よく分かってるじゃないか。」

「――!!誰だ?」

林の奥から現れたソフィア。

「今のお前じゃ炎王どころか、もう1人の来客にも勝てやしない。」

にっ、と不気味に笑うソフィア。

シルクは身体全部が危険を感知していることに気付く。

『……この者、強い。それに、まさかこの魔力は……?』




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