聖霊の宴


城門の中に入ると同時に3人は違和感に気付く。

「敵の気配がない……?」

統一王戦が幕を開けた今、城に留まるのであれば護りを堅くすることは当たり前の策である。

しかし城門を抜けた先には警備の姿はない。

「いや、敵どころじゃない。

人の気配すら全くと言っていいほどにない」

「いったい、これはどういうことなのでしょう?」

この時、ワイズだけはサスケの思考に近づいていた。

しかし確証もなければ、そこにはただの欺瞞しかない。

統一王という地位と名誉を掛けた戦いで、ワイズの思い描いた策に出る必要性は見られなかった。

「なに、罠であれ何であれ、敵の本拠地に潜入しているんだから気を引き締めるしかないさ。

それに……どうも嫌な予感がしてならなくてね」

「ワイズ?嫌な予感とは?」

ワイズは走りながらシルクの方を見た。

吐き出す息が不自然なほどに白い。

「…………。

何だか外よりも寒く感じませんか?」

肌を震わす寒さを越え、マリアには肌を刺す寒さに感じた。

それも城門を抜けると感じたもので、外気よりも寒いという不自然。





< 249 / 406 >

この作品をシェア

pagetop