聖霊の宴
城門の中に入ると同時に3人は違和感に気付く。
「敵の気配がない……?」
統一王戦が幕を開けた今、城に留まるのであれば護りを堅くすることは当たり前の策である。
しかし城門を抜けた先には警備の姿はない。
「いや、敵どころじゃない。
人の気配すら全くと言っていいほどにない」
「いったい、これはどういうことなのでしょう?」
この時、ワイズだけはサスケの思考に近づいていた。
しかし確証もなければ、そこにはただの欺瞞しかない。
統一王という地位と名誉を掛けた戦いで、ワイズの思い描いた策に出る必要性は見られなかった。
「なに、罠であれ何であれ、敵の本拠地に潜入しているんだから気を引き締めるしかないさ。
それに……どうも嫌な予感がしてならなくてね」
「ワイズ?嫌な予感とは?」
ワイズは走りながらシルクの方を見た。
吐き出す息が不自然なほどに白い。
「…………。
何だか外よりも寒く感じませんか?」
肌を震わす寒さを越え、マリアには肌を刺す寒さに感じた。
それも城門を抜けると感じたもので、外気よりも寒いという不自然。