聖霊の宴
城の中央の入り口へとたどり着いた3人。
辺りはまつ毛や髪の毛すらも凍り付く極寒となっていた。
入り口の前には1人の人物が立っていた。
その人物を見たワイズが小さく「やはりな」と溢した。
「ようこそ早春と立夏の大陸王」
小柄で線の細い少女。
ボブの金髪、眉毛もまつ毛も輝く様な金。
その奥に光るエメラルドの様に美しい緑の瞳。
近くまで行くとマリアが目を見開いた。
「あ、あれは――
元厳冬の大陸王・グレイシア・ウィザード様」
敵として考え得る中で最も危険な存在。
それは元大陸に他ならなかった。
今回の宴で破れたとはいえ、目の前にいる少女からはっせられる魔力はシルクやワイズにも劣らない。
「――はっ!
マリア、シルク」
「えっ?」
「……………」
ワイズは無言で辺りを見渡せ、と合図を送った。
辺りにはワイズやシルク達をとり囲う様にして6人の精霊使い達が集まっていた。
「グレイシアの不自然に飛ばされる強大な魔力に隠れていて、近づいていたことに気付かなかったな」
「なによこれ、凄い窮地じゃない」