聖霊の宴
フレア城で宴の招待客を待つバーク。
「期日まであと2日。ゲセニア、フリップ、シムの3人は来たが後の2人はどうかな……?」
するとその時、バークの憂いを晴らすかの様に扉が開いた。
「ようこそマリア、我が城へ。」
マリアはバークに向かい丁寧なお辞儀をした。
「さぁ、ここから次の司令がある明後日までは、我が城でゆっくりと過ごしてくれ。」
「はい、ありがとうございます。バーク王。」
にっこり。と笑って敷地に入ったマリア。
(……随分と油断しているのねバーク王。腕輪もしないで……)
腕輪は精霊に力を授かるための媒介である。
それをしていないということは、精霊を使えないと言うこと。
(こんな風にルールを無視して襲われたらどうするのかしらね?……ウンディーネ。)
マリアが魔力を込めた瞬間。
「……えっ?魔力が出せない!?」
「そうそう。言い忘れていたが、この敷地内では精霊はおろか魔力すら出せないようになっている。」
「……あら、そうだったんですの?お教え頂きありがとうございます。」
マリアは会釈をして庭園へと出ていった。
「くそっ。流石にしっかりしているわね。」
出ていくマリアをほくそ笑みながら見ていたバーク。
ゆっくりと灰炎のある方角を見据える。
「さて、スカーレットの血を引く者よ。まずは最初の試練を突破できるかな?」