リモート式恋愛感情【BL】
拳を握ったまま下ろしたのを見られた。

「なんかハルちんいつもより優しくてうけるう。」

へらへらした笑いに腹が立つ。


「……ハル君って友達もカッコイイんだね。」

空気の読めないこの阿東にもだ。


「へえ、ちーちゃんのこと気に入ったかも~。」

昭から悪意を感じる。


「光栄です。」

照れながらも単純な阿東はくだけてゆく。昭への距離が近付いていくのが面白くねえ……!


「ちーちゃんの家って近いの?今日は俺、ハルちんの家に泊まるけど一緒に行こうか!そんでえ、そんでえ、遊ぼうか!」

昭、余計なことを……!


「ええっ、駄目だよ!そんな急に申し訳ないよ……」

<行きたい…!>阿東から近いせいなのかダイレクトに流れてきた。


「来……いよ……。」

くそっ、阿東には余計なことを考えるなとあれ程言ったのに。


「あっ、でも駄目だ。ご飯支度もあるし、明日は学校だし。」

<凄く行きたい……>頭痛にも近い阿東の叫びが頭を揺さ振る。


「学校なんていいじゃん、休んじゃえば。」

軽く言うけど昭と阿東じゃ違うんだよ。


「家に電話入れとけ。
ついでに出前しとけばいいだろ。
明日早く起きて家に帰れば間に合うんじゃないか?」

なんで俺がこうまでして家に招かないとならないんだよ。
三人も入れるか?いや、阿東のサイズならギリ入るか。


「お泊り……はじめてだ。」


「ちーちゃんってなんか変わってるな。はじめてのお泊りとかエッチじゃん。」

昭が堪えたのか阿東の口数が減った。


「万年発情期のお前と一緒にするなってな。」

毒を吐いて、昭を黙らせる。
微かに阿東が赤らめていることを知っていたが見ないフリをした。
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