リモート式恋愛感情【BL】
「ハル君……!ごめん……」

必死に走ってきた俺を見て、阿東も薄々感づいていたようだ。

場所は阿東の家の近所の公園だった。
ちょうど、ぶらんこに腰を下ろし、クッキーを膝に広げていた。


「ハアアアルちん!」

遅れて昭も追い付いた。
飲み物を買ってる辺り、休みながら来たのだろう。


「あ……こいつ、腐れ縁の昭。」


「ハル君のお友達だね!」

阿東の緊張するのが見て取れた。


「なにこの子、迷子?」

確かに小柄で童顔な阿東はそう見える。


「こっちは阿東千波…学校の先輩だから、言葉遣い気をつけろよ。」

阿東は小さくお辞儀をしてますます、年下にしか見えない。


「こんなちっこいのに!嘘だよね?え、まじで?生えてんの?」

あろうことか、昭は阿東のパンツの中を覗き込んだ。


「…うわあえあおああぁ!助けてえ!」

〈…タスケテ〉
阿東の嘆きと命令に呼応して、アンテナが振れる。
これきたとばかりに、昭のみぞおちに一発食らわした。


「カッハ…、ハルちんの久し振りの蹴り重たいな…!…………ちなみに、うっすらと生えてた。」

小声で囁いてきた最後のは余計だ。
俺の影に隠れて阿東は様子を窺っている。


「阿東に余計なことするなよ。」


「また蹴られたら病院だしね。
ふぅん……ハルちんにしては珍しいツレだよね、ちーちゃんて言うんだ。」

こいつは初対面の人間にあだ名をつけるくせがある。


「はい……ち、ちーちゃん?」

恐る恐る阿東は差し出された手を握る。


「ちっちゃくて千波だからちーちゃん!」

地味に昭の言葉に傷付いている。阿東って、チビを気にしているのか。


「ハルちんなにニヤニヤしてんだよ!キモチワリ!」

本当に、昭は人を無意識に傷付ける男だ。


「うるっせーよ!」

睨みつけるとさっき蹴りを入れた場所をガードする。


「喧嘩止めて。」

阿東の命令には逆らえない。
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