【短編】クリス王子とセシル姫
そもそものきっかけは1ヵ月以上前のある夜―――。

クリスはいつもそうしているように、夜には妻であるセシルの部屋を訪れていた。

そしてセシルはいつものように特に抵抗も無く、彼を迎え入れてくれた。

2人で他愛もない話をして、やがて寝台に入る。
当然夫婦なのでそのまま甘い夜に、、、という流れが常なのだが、
数日前からクリスは毎晩セシルに”ダメ”と拒否されていた。

理由は簡単で、”月のもの”だということだった。

けれどもその日はもう最初に”ダメ”と言われてから10日経っていたし、
いつもだったらとっくに終わっているはずという計算だった。

でもなかなか許可はおりず、ずるずる今に至る。

「セシル、、、」

寝台の中でクリスは最近毎晩そうしているように、セシルに覆いかぶさった。

綺麗な白い肌。
クセのないブラウンヘア。
そして自分を見る、エメラルドグリーンの瞳。

いつ見ても美しい自分の妃は、涼しげな切れ長の目でクリスを見ると、

「―――ダメ」

と即座に言った。

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