【短編】クリス王子とセシル姫
「、、、まだなの?」

「うん」

あっさりそう返されると、何も言えない。
まさか確かめるわけにもいかないし。

クリスは不満気に顔をしかめると、「長いよ、、、」と文句を言った。

「仕方ないでしょ?
我慢しなさい」

ぴしゃりと言われてしまう。
1歳年上のセシルは、いつもこんな調子でクリスを叱り付ける。

そういう彼女のさっぱりしたところも好きなのだが、
今の状況でそれをやられるのは、かなりヘコむ。

セシルは体をどかさないクリスの胸を押すと、「寝ましょう」と言った。

「、、、少しだけ、、、」

クリスはそう言うとセシルの唇を奪う。
セシルは即座にクリスの体を押し、それを拒絶した。

「ダメだってば」

「キスくらいいいじゃん、、、」

唇を離されたクリスが抗議する。

「止まらなくなるくせに」

「大丈夫だってば、、、」

クリスは自分を押し戻そうとするセシルの手を掴んではがし、
指を絡めて寝台に押し付けるようにして縫いとめた。

そして再び唇を重ねる。

セシルは諦めたのか、目を閉じてそれを受け入れた。
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