【短編】クリス王子とセシル姫
柔らかい唇の感触に誘われるように何度も口付ける。
やがてセシルの口の中に割り入るようにして舌を侵入させた。

「ん、、、」

セシルが声を漏らす。
抵抗を示していたはずの体から力が抜ける。

いつしか彼女も、クリスの口付けに応えてくれていた。

長い間のお預けのせいもあり、セシルの手を押さえつけていたクリスの手はいつしか離れ、彼女の夜着の上から柔らかい体を撫で始めた。

そしてするすると下に降り、ごく自然に腰紐に触れる。

それを解こうとした瞬間、その手をセシルに止められた。

「こら!」

突然我に返ったようにセシルが声をあげる。

「少し触るだけ、、、」

昂ぶった気持ちを持て余しながら、クリスはすがるように囁いた。

「さっきキスだけとか言ったばっかりでしょ!」

「そうだけど、、、少しくらい触らせてよ、、、」

「だめっ」

すっかり熱から覚めた目で、セシルはきっぱりそう言った。

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