【ND第2回】雨

すると、焦れたのか、リュウはビニール傘をわたしに押しつけて、自らしゃがみこんでわたしのかかとを浮かせるようにし、履きなおさせた。

足首の部分のベルトを、ぱちん、と留める。

彼が立ちあがったので、わたしはビニール傘をつっかえした。

彼は苦笑したけれど、その苦笑は、なにもわかっていない苦笑だった。


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