半熟cherry

思わず体に力が入る。

それに気付いた郁が私の体にまわしていた腕をほんの少し緩めた。



「建前も言い訳もいらない」



郁は真っ直ぐ私を見つめる。

…郁の瞳に私が映ってる。

私の瞳にも。

郁が映ってるのかな…。



郁は一瞬目を伏せたかと思うと。

いきなり真剣な顔になった。





「なんで俺とキスしたの?」





なッ、なんでこの子こんなに直球なのッ?!

聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる!!



顔の熱さがひいてきたところだったのに。

また顔が熱くなる。





「缶ビール1本ぐらいで酔った勢いなんて言わせねぇ。
…サクランボの茎、結ばせたのは茜だろ?」





クイッ。



郁は。

右手で私の顎を持ち上げた。



 

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