半熟cherry
『…ッ!!』
郁の顔が近づいた。
「マジメに聞いてんだ…
ちゃんと答えるまで離さないから」
郁が言葉を発するたびに吐息が唇を掠める。
少しでも動けばまた唇同士が触れそうな距離。
「茜の言葉でちゃんと答えて」
顎を持ち上げられたまま。
郁を見上げてる私。
…ドキドキがとまらないよ。
心臓を鷲掴みされてる。
郁の視線に。
行動に。
体温に。
私の五感全てが狂わされていく。
“なんでキスしたの?”なんて。
答えはもう決まってる。
でも。
それを言ってしまったら。
………どうなる?
自分の生徒を“男”として見ちゃってるんだよ?
しかも酔って記憶がないとはいえホテルまで行っちゃってる。
………私、教師だよ………?
その時。
いきなり目の前が暗くなった。