半熟cherry
『……なんですか?』
昔のノリなら『いちゃ悪いン?!』とか言っちゃってた。
加藤先生とはいつもそんなノリで話してたから。
でも今は違うよね、うん。
……って私は考えてるのに。
加藤先生は昔と全く変わらない。
今でも私を生徒扱いする。
「明日の研修授業の資料、作ってくれ」
…………………………。
は?
今なんて……。
「研修授業、俺のクラスなんだけど。
資料まとめるの忘れてた。
放課後も部活が大会近いから出なきゃならないし。
友藤ヒマだろ?
お前のクラスの桜井でも誘って作っといてくれ」
加藤先生は機関銃のように話しだす。
『いや、私もやることが…』
「コレに入ってるからプリントアウトして80部作って。
教官室の机に置いといて」
『加藤先生!!』
「バイト代は教官室冷蔵庫にプリンが入ってるから食っていいぞ〜。
じゃ、よろしくな!!」
『ちょッ!?加藤先生!?』
加藤先生は。
ポンッとメモリースティックを机に置くと。
言いたいことだけ言って。
台風のように去って行った。