GODDESS
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顔を真っ赤にして咳込むあたしに、ナツメは足を組み直すと口角をあげた。


「ちえりの居酒屋依存症を治すんだから、よっぽど愛されちゃってるのね~」

「…一夜限りだったけどね。」


愛されてた、と言っていいのかはわからない。

けど、確かにあたしはあたたかいものを感じていたから。


「寂しくないの?」

「え?」

「もしあたしなら、もう一度会いたいって思うかもね…」


自分を満たしてくれる相手なら尚更ね、ナツメは付け加えた。

そんなナツメの言葉に、あたしは静かに目をふせた。

気合いを入れて塗った桜色の爪が視界に入る。


「…会いたいのかな?」


時折、彼の熱を思い出して身体がほてる。


会いたい?
会いたいよ。

だけど…


怖い

怖いの


あれから一週間は経ったけど、可笑しいくらい、あーくんのことを考えてる自分がいた。

それは今までのあたしにはなかったことで…

あたしの日常で変わったといえる、もっとも大きなことでもあった。


それに…


「あーくん…葵は…寂しかっただけだから。」


だから、一日だけあたしを求めたに違いない。


「葵くんはそうだったかも知れないけど、ちえりは違うんじゃないの?」


あたしは…どうだったんだろう。

あたしも寂しかったのは確かだ。

けど、求めたぬくもりにそれ以上を望んでしまっていたのも確かで…


「ちえり、大丈夫。恋は怖くないよ。求めても大丈夫だよ?」

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