恋愛小説
私はお父さんとお母さんの半分ずつでできている。
お互いがお互いを嫌いだから、私の中に流れている、
残り半分ずつの血が、憎くて仕方ないんだ。
私を可愛いと思っているなんて、お互いに口だけなんだから。


本当は、私には苗字なんて、どっちでもいい問題だ。
どちらかを選んだら、どちらかを捨てる事になるなら、
お父さんの名前も、お母さんの名前も名乗りたくない。


もう、お父さんとお母さんに喧嘩をして欲しくないから、
私の全身に流れる血を、全て捨ててしまいたかった。


でも、そうしたら、死んでしまうよね?


私が死んだら、またお父さんとお母さんが喧嘩をすると思ったら、
自分の血を全て捨てて、死ぬ事すらできない。


考えても考えても、ぐるぐると同じところで悩むだけだし
今は、泣いても仕方ない。


目が腫れないように、涙を押すようにふいて、自転車を漕ぐ。
聡子にこれ以上、心配させちゃダメだ。
私は今、聡子に生かされているのかもしれない。
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