この想いは・・・。



時間切れだ。




電車が来る音楽が鳴った。



「空くん、電車が来たから切るね」


『は?』


「空くん、愛子さんとお幸せに」


『おいっ、さか』プッ




最後まで空くんの言葉を聞かずに電話を切った。




なんか最後まで空くんに迷惑掛けちゃったな・・・。



でも、電話できて良かった。



電話がホームに来た。



今から電車に乗って、新幹線に乗り換えて、そして実家に帰る。




谷口くんのいない県に、


谷口くんのいない町に行く。



そして、一生谷口くんとは会わない。




プルルルル

プシューパタン


カダンゴトンガタンゴトン


電車が動き出す。


椅子に座り、きっと最後になる景色をじっと眺めていた。




いきなり携帯が震える。



ブッーブッー


画面を見つめ、出るか迷った。



でもきっとこれが最後。



「はい」



あたしは電話に出た。



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