あなたの部屋で死なせて下さい

「それは大丈夫です」


「なんで?」


「私、保険に入っているので」


「・・なるほど。で、ちなみに借金はいくらなの?」


「幾ら・・と言ってもあなたに出来る事はないのです。
ただ飛び降りる場所さえかして頂ければ」


「いーから!言ってみろよ。幾らなんだよ」


「ご、ごせんまんです」


此処でこの人に言った所でどうにもならないのは

分かってるけれど。


それで喋ってしまったのは、

この人から何か優しさみたいなものが溢れて

いるからなんだと思う。


見た目ホストにしか見えないのに・・


五千万ねぇ、

そう呟いてから


「お前さ、他にも方法あると思わない?」


ニコリと笑顔を見せてそう言ってきた。









< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop