俺様先生と秘密の授業【完全版】
「そーいう走り方は、危険運転なんとか法に引っ掛からないのか?
 それに、何だよ! 最後の廃工場!
 ああいう所に、勝手に入ったら不法侵入になるんだろ……!」

「なんだ、案外細かいヤツだな。
 知ってるぜ。
 わざわざ言われる筋合いはねぇ。
 運転技術が未熟なら、ゆっくり来ればいいし。
 廃工場は、知り合いの所有している土地で、チームの関係者は勝手に入って良いコトになってる。
 問題無い」

 それに。

 一応、教え子なお前が特に怪我もしてないしな、と。

 しれっと言うと。

 直斗は岸君に余計な一言をつけくわえた。

「もしかして、俺に置いてかれて、悲しかったのかな?
 ボクちゃん?
 ……いや、乙女ちゃんか?」

「……!」

 直斗にからかわれて、岸君の顔は怒りで、真っ赤になった。

「誰が、悲しがるんだ!
 オレが怒ってるのは、別の所だよっ!
 横からやって来て、加月さんを勝手に連れて行きやがって!」

「ああ、ソコか」

 怒鳴る岸君に、直斗は淡々と、言った。

「愛莉は、岸になんて、やらない」

「直斗……!」

「早瀬倉!」

 直斗の宣言に、あたしと、岸君の全然違うトーンの声が重なった。

 あたしは、嬉しくて、高く。

 岸君は、不満げに、低く。

 けれども。

 直斗は、目を伏せると、信じられないことを言った。
 


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