俺様先生と秘密の授業【完全版】
「……本当は、ね。
 その気になれば、私の方も、大丈夫、なの」

「……は?」

 岸君が、言っている意味がよく判らない。

 思わず、聞き返しているうちに。

 ……岸君が、変わってゆく。

 それも、だいぶ劇的に。

 よく見れば、ただ。

 猫背の姿勢を正して、長い前髪を半分かきあげただけなのに。

 足の長い、細マッチョで。

 目元がとても、涼しいのがわかる。

 芸能人で言うと、誰に、似てるかなぁ。

「ふふ。
 ……びっくりした?」

 ……しかも。

 姿勢を正せば、自分が他人から、どう見えるかなんて。

 ちゃんと、判っているって、こと?

 呆然と、うなづくあたしの前に。

 今まで、見たことのない岸君が、いた。

「き……岸君って、実は……」

「うん」

「フツーのヒトだったんだ」


 ……がくっ。


 あ。

 あたしの言葉に、変身したはずの岸君、コケた。

「あのさ、普通、この場面だと。
 岸君って実はイケメンだったんだ……!
 ……みたいな、セリフが出て来ない?」

 ちゃんとすれば、私は、野郎の平均値より、だいぶランク上のはずよ?

 なんて言う岸君に、あたしは応えた。

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