俺様先生と秘密の授業【完全版】
 変なコト言って、正体がバレたらもっのすごく、マズい。

 あたしは、岸君に聞くよりも、ごまかすことにした。

「し、知らないわよっ!
 兄貴のクローゼットから、勝手にもって来たんだからっ!
 そ、それより岸君、さっさと上着を着ちゃってよ。
 もうすぐ、みんなが来る時間よね?」

「あ……」

 あたしの、みんなが来るって言う言葉に。

 岸君は、止まっていた手をようやく動かし……上着をあたしに返した。

「……岸君?」

「ごめ……ん。
 悪いけど、オレ、これは着れないや」

「なんで?」

 急に歯切れが悪くなった岸君は、困ったように頭を抱えた。

「ええっと……どう言ったら、いいのかな……?」

「それは、岸が腰ぬけだからさ」

 また、急にはっきりしない、岸君に、別の声が割って入った。

 見れば。

 クラスメートのいじめグループが、六人、にやにや笑いながら、こっちに歩いて来るところだった。

「上着だけ着れば、即席暴走族ってか?
 やっぱり、偽物じゃん。
 こんな事だろうと思って、早目に来て、良かったぜ」
 
 し、しまった!

 いつから、いたんだろう?

 彼らはすぐに、あたし達を囲んだ。
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