丘の上より



―――ゆっくりとした機会的な音…




あぁ、妻の心臓の音なんだろうな…。






中央には妻がいた。





奥の方で血まみれになった医師や看護師たちが私を見ていた。





あぁ、彼らに付いている血は妻のものなんだな。







私はゆっくりと近づき、妻の顔を眺めた。





―――こんなに管に繋がれて…







「…痛かったろう?」






ふいに言葉が出ていた。





けれど返事はない―――。






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