丘の上より
「…よく、頑張ってくれたな。幸恵…」
妻の名を呼ぶ。
「幸恵…」
管が繋がれた妻の右手を握る。
「―――ほんとに頑張ったよな。」
そう言った瞬間、妻のまぶたが少し開く。
「幸恵っ!」
私は手を強く握りしめた。妻は軽めに私に握り返してくれた。
「…あな…た…。」
私だとわかってくれたのだろう。
「なんだ?」
妻の開きそうで開かない口をじっと見つめた。
「――…あ…」
何か言おうとしている。
私は耳を傾けた。