丘の上より
妻は苦笑いをした。
「あなた、言ってくれたよね。私にまだ惚れている・て」
「あぁ…」
「その愛を…。私に注いでいた愛を…、今度は自分に使ってください。」
妻は男の前でとまり、男の頬をなでようとする。
「幸恵…。」
男が妻に触れようとした瞬間、妻は泡になって天に昇ろうとした。
「あっ――。」
男はその泡をつかもうと手を天に伸ばす…。
「――あなたを…、自分を大切にしてください。」
泡から最後の言葉が聞こえた。