職人の娘。
「今日は昼間の内に仕事上げてきたんだよね」


長い黒髪をシュシュで結んで、スッピンのお母さんはどこにでもいる31歳で。


いや、他の人よりも若いかも知れないと思う。


「…なんで?」


思わず口に出てしまった。


「なんで?ってアンタ、駄目なんか?あたしが家にいたら」


お母さんの笑った顔、久しぶりに見た。


って言うか、こうやって話す事すら久しぶり。


昨日の出来事もお母さんは絡んでいたけれど、親子の会話は僅かだった。


だからこそ、怖いのと恥ずかしいのとで…


「我が娘の立ち回りの話聞きたくて、無理言って帰ってきたんだよ。」

「伊紗希!!」


お母さんの言葉に触発されたように、ばあちゃんが叫んだ。


「あんたねえ、ほまれは女の子なんだ。立ち回りなんてこっぱずかしい…伊紗希、あんたの教育がなってないから、この子がこんな事になるんだろう!!」


怒鳴るばあちゃんを、お母さんはいぶかしげに見つめていた。


昔から、ばあちゃんとお母さんはこんな感じだから、それに関しては何も思わない。
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