カラダから始まる恋ってありますか?
「じゃあ、またな」
会計を終え、それだけ言って店を後にしようとした俺を
「裕介さん!」
と呼び止めた。
「なに?どうした?」
俺とジュンを交互に見ながら、何か言いたそうな表情で俺の顔をジッと見ると
「うぅん。2人とも仕事…頑張ってね」
そうニコッと笑って右手をヒラヒラさせた。
「おぉ。愛美もな」と言った俺の隣で「ありがとう」と微笑むジュンの笑顔を複雑な気持ちで見ながら
「じゃあ」と右手をヒラヒラさせて店を出て少し歩くと
ポトリポトリと雨が降り始めた。
「雨か…」
とうとう降ってきたか…。立ち止まり空を見上げていた俺に
「藤木さん、急いで帰りましょう」
少し先を歩いていたジュンに言われて、駆け出しながら
小さくなっていく愛美がいるカフェをチラリと振り返り、ため息1つこぼれ落ちた。