reverse【完】

「待ってたわよ。聡君」


そう言って、笑顔で迎えてくれた美咲の母親に安堵の息が漏れる


「色々とご迷惑をおかけしました。」


深々と頭を下げると
玄関にチビ達の靴が置いてあった



それだけで
目の回りが熱くなってくる




「美咲は今、買い物に出てるわ。もうそろそろ帰るころだと思うけど」



すると
奥からドタドタと走る音が聞こえた


「パパだぁ~!!!!」



その声に頭を上げる



久しぶりに聞く声

迷わず抱きついてくる我が子を
ぎゅっと抱きしめた



「パパ遅いよ!お仕事忙しかったの?」


美咲は子供達に話してないのだろうか…

美咲の母親を見ると
穏やかな笑顔で頷いてくれた


「沙良遅くなってごめんな。もう大丈夫だよ」


そう言って、抱きしめた沙良の髪をなでた



沙良の声に
次女の由良がニコニコしながら駆け寄ってきた


「由良もおいで」


「うん!!!」


両手で二人を抱きしめる
目は霞んでよく見えない


何て言ったかは分からない

それでも
変わらず俺に抱きついてくれるチビ達


美咲はあんな状況でも
チビ達に愚痴一つ言わず、俺をパパのままにしてくれていた





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