千景くんは幼なじみ
「結愛ちゃん、こっち来てみて」

金網の方に引き寄せられ、なぜか和奏くんと一緒に、金網にしがみつく。

「広いグラウンドだね」

「これ、野球部専用なんだよ。すごいよねー。施設も道具も充実してるし」

「専用なんだぁ。へぇー…」

これだけで、うちの学校のグラウンド並だよ?

さすが私学は違うね。

「メンバーも、他府県から野球留学してきた人がたくさんいるし。勝ってあたり前のチーム…なんだよね」

「勝ってあたり前…」

「それってすごいプレッシャーだと思わない?周りは当然勝つって思ってるし。

だから、寿太郎は凄いな~って思う。みんなの期待を一心に受けてさ、それでも勝つっていう期待を裏切らない」

「そ…んなに、スゴいんだ?」

ちょっと、ドキドキしてきた。






寿太郎くんの、真っ赤な顔と恥ずかしそーな優しい笑みしか浮かばない。

初対面はしどろもどろだったし…。

頼りないよーな、勝ちにこだわらなさそうな性格に見えるよ?

ボール握ると、変わるのかな。



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