千景くんは幼なじみ
えぇっ!何、何!?

何なのー?

穂積は、ワケがわからずキョトンとしてる。

ちーちゃんは、眉間に皺を寄せ、顔を思いっきりしかめていた。

そして走ってきた子は、気まずそうな顔で走り去る梓とちーちゃんを、交互に見ていた。






「ばか、早く追えって!」

ちーちゃんは、今来たばっかりの彼の背中を押す。

けど、彼はポケットに手を突っ込んだままここを動こうとしなかった。

「ムリー。追えませーん」

「ムリって何だよ。人がせっかく引き止めて…。あーもぉ、おまえ…むかつくっ!結愛、来いっ」

口を尖らせたその彼を置いて、ちーちゃんは私の手をひいて走り出す。

「ちょっと、ちーちゃん。コケるっ!」

「ちゃきっと走れよ。あの子、絶対つかまえろ!」

えーっ?





つかまえろって、何なの?

さっき梓と二人きりでいた理由も、何もナシに、ただ必死に走らされた。




< 393 / 460 >

この作品をシェア

pagetop