千景くんは幼なじみ
千景も、私の前とクラスの子の前とでは、少し違うよね?

「どーかした?」

「ううん。今日、楽しかったぁ~」

「…オレも」

ほら…

私の前では

こーんな甘い顔

見せちゃうんだから。







「花火も、楽しかったね!景品がアレって知ってたの?」

「おぅ。実行委員のヤツが言ってた」

へぇ。これも花火師の息子の恩恵?

「でもー…どーして、千景があのカード持ってたの?」

「…え?」

私の言葉に千景が一瞬息をのむ。

「寿太郎くんと…迷路で会った?」

「え、何で知ってんの?」

やっぱりぃ。

あのカードは、寿太郎くんがくれたんだ?

あ。

鍵忘れたって言ってたけど、穂積部室にいたし、千景にカード渡したから

忘れてそのまま家に戻ってそう。相変わらず寿太郎くんはお茶目だな…。

クスッて笑うと

千景が私の顔を覗き込む。




「あいつさー、すげぇいいヤツだよな。オレ…ちょっと誤解してる事あって、冷たく接したのにさ、

迷路でぶつかりそーんなって、オレがずっと引っかかってた事…謝られた」


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