たからもの

新入生

―中学入学式―


私は榊ともかと鈴村姫と一緒にW中学へ行った。

玄関の前にはクラス表が貼ってある。

私達3人は目をあわせ、クラス表を見た。

「私1組…。」

私は行った。

すると2人は「私ら2組だよ!!」

と、とても喜んでいた。

3人、とても仲良くしていたのに…。

私だけクラスが違った…。

女の3人組というのは中途半端なもので2人が仲良くしていれば1人が孤独になってしまう。

今はまさにその象徴…。

私は1組へ入っていった。

(知ってる子いないかなあ…。)

すると、「秋花ちゃんっ!!」

と声をかけてきたのは、同じ小学校だった花房茉莉だ。

「あ…茉莉ちゃん…。」

私は毎日茉莉に悩みをぶつけた。

ともかと姫の事で。

その時はもう、私1人では抱えきれない悩みになっていた。

だから誰かに聞いてもらいたくて仕方なかった。

茉莉ちゃんはアドバイスもたくさんくれた。

その頃の私はともかや姫と登下校は共にしていたが、存在はないようなものだった。

2人は同じクラスで同じ委員会だから…話す事もたくさんあったのだろう…。

私が2人の話に介入する事は少なくなっていた。

2人は日を増すごとに仲良くなっていた。

それを追うように私の不安は増えていった。

茉莉に相談する回数も増えていった。

「もう、どうしていいかわかんない…。いつも2人で仲良くしてて、登下校一緒にしてるのに"おはよう"とか"ばいばい"くらいしか私としゃべってくれないんだあ…。」

「そっかあ。でもそれは今だけやない?それか1度距離おいてみたら?」

「うーん…。」

「あ!!あたしちょっとトイレ行ってくる☆」

この時気付くべきだったんだ。

茉莉がトイレに行ったわけじゃなかった事に。

どうして気付けなかったんだろう…。

それはきっと、私が茉莉を信じていたからなんだよね…。
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